声優としての活動はさることながら、ダンス、衣装、作詞など、多方面での才能を存分に発揮している小倉唯。アーティストとして14枚目のシングル「Fightin★Pose」をリリースした彼女に、楽曲制作に関するエピソードを中心に話を聞いた。彼女のこだわりや想いがたっぷり詰まった作品と一緒に、インタビューも最後まで読んでほしい。

 

この現代を生き抜く皆さんに、なにか糧になるメッセージが送ることが出来たらいいな

 

 

──新曲の「Fightin★Pose」は、TVアニメ『ジャヒー様はくじけない!』のための書き下ろし曲となりますが、どのように制作されたのでしょうか。

 

この曲は、歌詞も楽曲もコンペで選定させていただきました。最初のオーダーから関わらせてもらったので、自分が表現したかった世界観や、イメージしていた通りの楽曲が上がってきてすごく感動したんです。

 

──たくさんの曲の中から、この曲がピッタリだと思ったんですね。

 

そうですね。私自身も、「ラップを入れたいな」とか、「聴いていくうちにどんどんメロディが変わっていくような、おもしろい曲にしたいな」と思っていたので、実際にアレンジが加わり固まった時に、「目指していたのはこれだったのか!」としっくりきたんです。

 

──ラップも、高速ラップで驚きました!

 

今まで表題曲でラップに挑戦したことはなかったので、気合いを入れて臨みました。フロウも自分で研究し、考察してレコーディングに臨んだんです。レコーディングの直前まで、何度も練習をして、ガチガチに自分の中で固めてからスタジオに行き、「こんな感じの節回しはどうですか?」と提案させてもらいました。

 

──フロウ自体も、馴染んでいないと大変ですよね。

 

大変でした。なので、ラップが取り入れられているガールズユニットさんの曲をたくさん聴いて、より耳に残る節回しにするにはどうしたらいいのかなと考え、研究しました。

 

──たしかに、最近のガールズユニットさんのラップってすごく気持ちがいいフロウなのに、キャッチーですよね。

 

はい。それに、ジェットコースターのような、緩急があるフロウがいいなと思っていたんです。淡々とラップをこなすのではなく、一癖あるようなオリジナルのフロウにできたらいいなと思ってこだわりました。そういう意味では、今まで以上にひとつの曲と向き合う時間は長かったと思います。

 

──作詞は共作になっていますが、どのように作っていったのでしょうか。

 

作詞は、メロディラインを選んでから、コンペをしたんです。その時に、なんとなく自分の中で作詞のイメージが湧いていたので、「私も参加しちゃおう!」と思って。原作ももちろん読ませていただいていましたし、決まった曲のメロディを何回も聴いていたので、いいアイディアが出せるんじゃないかなと思ったんです。あえて他の方の世界観に影響されることなく、この曲を表現してみようと思ったんです。なので、コンペには小倉唯という名前ではなく、ペンネームで参加させてもらいました。

 

──そうだったんですね。結果として、共作となっていますが、小倉さんはどのようなフレーズを提案したのでしょうか。

 

タイトル自体はKIKUEさんのアイデアを使わせていただきました。この「Fightin★Pose」というタイトルがすごくしっくりきたんですよ。一度負けても、ダウンしても、また立ち上がってやるという情景が、この一言に表現されているんですよね。サビに関しては、私の詞を多く取り入れていただきました。とにかく前向きに、降りかかる困難を、何があってもひたすら乗り越えることや、主人公の強気で傲慢な部分をあえて命令形の言葉にして表現してみたり…。この現代を生き抜く皆さんに、なにか糧になるメッセージが送ることが出来たらいいなと思い、“自分のことを一番信じてあげよう”というエールを込めました。

 

──そのメッセージを小倉さんが歌うことで、とってもキュートに仕上がっていたのが印象的でした。

 

ありがとうございます。印象的で、強い言葉を入れることを意識していたんです。そこがジャヒー様とも重なる気がしたんですよね。彼女も小さいなりに自分を大きく見せようと、強い言葉を使ったり、大きな態度を取るんです。そこがかわいらしいなと思ったので、あえてそういった言葉選びをしていました。

 

──この曲のMVはとってもかわいい仕上がりですが、遊園地で撮影されたんですか?

 

はい!MVはカラフルなイメージでダンスを見せたいと思っていました。シチュエーション案をいくつか監督さんから頂いた中に遊園地があり、私もそういった賑やかな場所で歌ったり踊ったりする画が浮かんだので、ぜひやりましょうということになったんです。

 

♪小倉 唯「Fightin★Pose」MUSIC VIDEO (Short Ver.)

 

 

──ダンサーさんとのフォーメーションダンスもありましたが、かなりハードなダンスでしたよね。

 

このダンス、実は振り付け師さんもふたりでの共作なんです。1人で作っていないからこそ、いろんな振りの要素が入っていて、おもしろいんですよ。特にラップパートの高速ダンスは見どころとなっています。実は、先日のライブで初披露したんですが、歌いながら踊るのはかなりヘビーでした…!でもやるしかない!という気持ちでなんとか乗り越えました。

 

──まさに、“Fightin★Pose”だったんですね。

 

そうですね。何度も倒れそうになりながらも、練習を頑張りました。そこで、ちゃんと自分を信じる大切さにも気づかされたんです。自分にしかできない!と思って臨んだら、なんと、リハーサルでは一発で歌えたんですよ。周りのスタッフさんが驚くくらいで、もちろん自分もビックリしたんですが、ちゃんと積み重ねて練習していくことって大事なんだなと実感しました。

 

──MVの衣装もすごくかわいいですよね。

 

衣装も自分からアイデアを出させていただきました。例えば、メリーゴーランドの前で踊るダンスシーンでは、ワイドシルエットのパンツスタイルに挑戦させてもらったんです。メリハリを出すため、上はあえてタイトなトップスでまとめたり。もうひとつのダイナーシーンでは元気さをイメージしていたので、ポップでカラフルなワンピース。ダンサーさんと一緒になった時に、全員でかわいく見えるよう、色味を揃えました。ぜひ、衣装にも注目してもらいたいですね。

 

 

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